大さん橋は、国内外の大型客船が寄港するため、両側に長大な岸壁があります。3万トン級までの船は4隻、それ以上の船は2隻が同時着岸できます。
屋内は、柱の無い広い空間が特徴的で、出入国の手続きを行うロビー、ガラス張りの多目的ホール、カフェやショップなどがあります。
ウッドデッキと芝地からなる屋上は、市民や観光客の憩いの場であり、大迫力の豪華客船やみなとみらいの夜景などを間近に楽しめます。年間300万人以上が訪れ、横浜の観光スポットとしても人気です。
主体構造 | 鉄骨造一部RC造 |
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階 数 | 地上2階、地下1階 |
敷地面積 | 34,293㎡ |
建築面積 | 27,270㎡ |
延べ床面積 | 34,732㎡ |
建ぺい率 | 79.5%(許容80%) |
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容積率 | 81%(許容:400%) |
最高高さ | 15.263m |
地域地区 | 商業地域、準防火地区 |
屋 上 | 広場、送迎デッキ、野外イベント広場 |
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2 階 | 客船ターミナル
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1 階 | 駐車場 |
地 下 | 機械室 |
大さん橋の建築デザインは、船客だけでなく、市民からも愛され、後世に誇れる「横浜港のシンボル」とするため、国際デザインコンペを行って決めました。世界41カ国から660作品もの応募があり、当時、国内で行われた国際コンペとしては過去最高となりました。
最優秀作品には、イギリス在住の建築家である、アレハンドロ・ザエラ・ポロ(スペイン出身)、ファッシド・ムサヴィ(イラン出身)両氏の作品が選ばれました。
大さん橋は、これまでの建築物に例のないデサインや構造のため、建物の各部分に、独創的な工夫や高度な技術が用いられています。主な特徴を紹介します。
主な特徴についての詳細は
下記ブロックからご覧ください
建物の両側にあり、建物を支える骨組の役割をもつ「桁梁」は、上下左右にうねりを持った非常に複雑な形状をしているため、同じ形のものが一つもありません。そのため、鉄骨工場での製作や現場での組立作業には高度な技術が必要でした。
「折板」は、建物の両側にある桁梁に接合され、屋根や床になる部材です。日本の伝統文化の「折り紙」を意識したデザインで、三角錐を組み合わせたような形状をしています。
大さん橋の天井は鉄骨の骨組みに鉄板を「鋲」(びょう)で接合しています。鋲は火薬を使って打ちつけることにより、鉄骨、鉄板、鋲がそれぞれ溶け合って一体になっています。
建物の両側のクルーズデッキと建物内部はガラスカーテンウォールと呼ばれる、厚さ19mmの「強化ガラスの壁」で仕切られています。 このガラスは、下部のみで固定されていて、上部は建物が地震などによって揺れても、ガラスと骨組み部分がぶつからないように、余裕をもってはめ込まれ、固定されていません。
また、ガラスは外側に傾くようにテザインされ、山下公園側が9度、新港ふ頭側は1度傾むいています。
大さん橋の特徴である天井の「折半」を際立たせるため、ターミナル内は「間接照明」を多用し、両側の桁梁に設置されている投光器(アッパーライト等)で天井を照らしています。
1階の駐車場には、火災時に天井から消火剤を噴霧する「閉鎖型噴霧消火設備」を設置しています。
また、約2,000㎡の広さがある大さん橋ホールには、「放水型スプリンクラー設備」(通称、放水銃)を採用し、音声による避難通知と赤色ランプも設置しています。
屋上は、「ウッドデッキ」と「天然芝の緑地」になっていますが、これは、建物本体が直射日光を受けずに、「屋内の温度上昇を抑える」効果があり、環境にもやさしい建物になっています。
表面のウッドデッキと芝地の下には、コンクリート床の上に断熱材を貼り、ウレタン系の防水をした“本当の屋根”があり、雨水の進入も防いでいます。
「ウッドデッキ」は、ブラジルのアマゾン川流域を原産地とする「イペ」という木材で造られていますが、「イペ」は水に沈むほど重い特性(比重約1.1)があり、耐火性、防虫・防腐性、強度などの点でとても優れています。