「建築」から見る、大さん橋!

HOME > 大さん橋とは > 「建築」から見る、大さん橋!
建築から見る大さん橋
現在の大さん橋は、世界に例を見ない斬新な建築デザインをもつターミナル施設として、国内外から大きな注目を集めてきました。ここでは、大さん橋の「建物としての魅力」(現ターミナル建設までの経緯や、建築上の特長など)を詳しく、ご紹介していきます!
建築に関する基本情報はこちら

基本情報

多様な施設や
機能を合わせ持つ、
国内有数の客船ターミナル

  • 建築から見る大さん橋1

    大さん橋は、国内外の大型客船が寄港するため、両側に長大な岸壁があります。3万トン級までの船は4隻、それ以上の船は2隻が同時着岸できます。
    屋内は、柱の無い広い空間が特徴的で、出入国の手続きを行うロビー、ガラス張りの多目的ホール、カフェやショップなどがあります。

    建築から見る大さん橋1
  • 建築から見る大さん橋2

    ウッドデッキと芝地からなる屋上は、市民や観光客の憩いの場であり、大迫力の豪華客船やみなとみらいの夜景などを間近に楽しめます。年間300万人以上が訪れ、横浜の観光スポットとしても人気です。

    建築から見る大さん橋2

建物の基本データ

主体構造 鉄骨造一部RC造
階 数 地上2階、地下1階
敷地面積 34,293㎡
建築面積 27,270㎡
延べ床面積 34,732㎡
建ぺい率 79.5%(許容80%)
容積率 81%(許容:400%)
最高高さ 15.263m
地域地区 商業地域、準防火地区

建物の機能(施設内容)

屋 上 広場、送迎デッキ、野外イベント広場
2 階 客船ターミナル
  • 交通広場(正面玄関、バス乗り場、タクシー乗り場)
  • 出入国ロビー(インフォメーション、発券所、船客待合スペース、カフェ、ショップ)
  • CIQ(税関・出入国管理・検疫)施設
  • クルーズデッキ
  • 大さん橋ホール(ホール、レストラン)
1 階 駐車場
地 下 機械室

1.建築家について

国内最大級のコンペから選ばれた建築デザイン

大さん橋の建築デザインは、船客だけでなく、市民からも愛され、後世に誇れる「横浜港のシンボル」とするため、国際デザインコンペを行って決めました。世界41カ国から660作品もの応募があり、当時、国内で行われた国際コンペとしては過去最高となりました。

最優秀作品

最優秀作品には、イギリス在住の建築家である、アレハンドロ・ザエラ・ポロ(スペイン出身)、ファッシド・ムサヴィ(イラン出身)両氏の作品が選ばれました。

2.建築デザイン
特長

  • 「ナチュラルさ」
    「温もり」も感じられる、
    斬新デザイン

    大さん橋は、国内外の大型客船が寄港するため、両側に長大な岸壁があります。3万トン級までの船は4隻、それ以上の船は2隻が同時着岸できます。

    屋内は、柱の無い広い空間が特徴的で、出入国の手続きを行うロビー、ガラス張りの多目的ホール、カフェやショップなどがあります。

    ウッドデッキと芝地からなる屋上は、市民や観光客の憩いの場であり、大迫力の豪華客船やみなとみらいの夜景などを間近に楽しめます。年間300万人以上が訪れ、横浜の観光スポットとしても人気です。

    デザインの特徴1
  • デザインの特徴2
    建物
    融合するような
    「回遊性」に富んだ空間

    段がなく、スロープで各階層をつなぎ、1階・2階という通常の建物の基本概念をなくした空間は、自分が建物のどの部分にいるのかを曖昧にし、まるで自身が建物と融合しているような不思議な感覚をもたらします。

    また、様々な階層と面が折り重なる“ラザニア”ように設計された建物は、一度通った道でもその事を感じさせない、「回遊性に富んだ空間」となっています。

  • 客船市民との
    “出会い”
    意識した設計

    大さん橋は、「客船からの眺め」を遮らないよう、客船よりも「建物の高さ」が低くなるように設計されています。

    船が入港する際、最初に見えるのは屋上に集う横浜の人々であり、“市民から迎えられている”イメージを与えます。こうして「客船と市民の出会いの場」としての工夫もしています。

    デザインの特徴3

3.現大さん橋
建設経緯

「旧大さん橋の再整備」による
現大さん橋の建設
旧大さん橋
旧大さん橋(旧ターミナル)
幅:50m、長さ:480m
  • 大さん橋は1894 (明治27 )年、当時の最先端の技術、鉄らせん杭を利用した桟橋構造による「鉄桟橋」として造られました。
  • 1900年代は、関東大震災による倒壊や、戦後の貨客船の増加・大型化などもあり、5度の増改築工事を行いましたが、老朽化が著しくなり、1980年に入り、ターミナルを新しく建設することになりました。
  • 1989年から約10年以上かけて、古い桟橋の撤去、海底部の地盤改良や埋立てなどを工事を行い、2002年に7代目となる現ターミナルが完成しました。
現大さん橋
現大さん橋(新ターミナル)
幅:100m、長さ:480m
面積:約2.6ha
  • 両側に幅20mの桟橋、中央に幅約60mの埋立地あり
  • バース(船の停泊場所):
    4か所、対象船舶30,000G/T級、水深10~12m

4.建設物
特徴/独自性

大さん橋は、これまでの建築物に例のないデサインや構造のため、建物の各部分に、独創的な工夫や高度な技術が用いられています。主な特徴を紹介します。

建設物の特徴

主な特徴についての詳細は
下記ブロックからご覧ください

4-1. 桁梁

「旧大さん橋の再整備」による
新ターミナル建設

建物の両側にあり、建物を支える骨組の役割をもつ「桁梁」は、上下左右にうねりを持った非常に複雑な形状をしているため、同じ形のものが一つもありません。そのため、鉄骨工場での製作や現場での組立作業には高度な技術が必要でした。

  • 梁桁は同じ形のものがない
  • 基礎にセットされる梁桁
4-2. 折板

「折り紙」を意識した
独特なデザイン

  • 「折板」は、建物の両側にある桁梁に接合され、屋根や床になる部材です。日本の伝統文化の「折り紙」を意識したデザインで、三角錐を組み合わせたような形状をしています。

    2階の天井ができていく
  • 大さん橋の天井は鉄骨の骨組みに鉄板を「鋲」(びょう)で接合しています。鋲は火薬を使って打ちつけることにより、鉄骨、鉄板、鋲がそれぞれ溶け合って一体になっています。

    鋲(ビルティ鋲の打ち付け)
4-3. ガラスの壁

防災効果を意図した
「傾きのある強化ガラス」

  • 建物の両側のクルーズデッキと建物内部はガラスカーテンウォールと呼ばれる、厚さ19mmの「強化ガラスの壁」で仕切られています。 このガラスは、下部のみで固定されていて、上部は建物が地震などによって揺れても、ガラスと骨組み部分がぶつからないように、余裕をもってはめ込まれ、固定されていません。

    大さん橋ホール先端のガラス取り付け
  • また、ガラスは外側に傾くようにテザインされ、山下公園側が9度、新港ふ頭側は1度傾むいています。

4-4. 照明設備

落ち着いたムードを演出する
「間接照明」

大さん橋の特徴である天井の「折半」を際立たせるため、ターミナル内は「間接照明」を多用し、両側の桁梁に設置されている投光器(アッパーライト等)で天井を照らしています。

  • 大さん橋ホールの照明
  • 基本照明配置図
4-5. 消火設備

大規模空間での
火災に即応できる
「特別な設備」

  • 1階の駐車場には、火災時に天井から消火剤を噴霧する「閉鎖型噴霧消火設備」を設置しています。

    大さん橋ホールの放水銃
  • また、約2,000㎡の広さがある大さん橋ホールには、「放水型スプリンクラー設備」(通称、放水銃)を採用し、音声による避難通知と赤色ランプも設置しています。

    放水銃の放水試験
  • 大さん橋ホールの放水銃
  • 放水銃の放水試験
4-6. 屋上

強く、環境にやさしい造り

  • 屋上は、「ウッドデッキ」と「天然芝の緑地」になっていますが、これは、建物本体が直射日光を受けずに、「屋内の温度上昇を抑える」効果があり、環境にもやさしい建物になっています。

    芝生の貼り付け
  • 表面のウッドデッキと芝地の下には、コンクリート床の上に断熱材を貼り、ウレタン系の防水をした“本当の屋根”があり、雨水の進入も防いでいます。

    「ウッドデッキ」は、ブラジルのアマゾン川流域を原産地とする「イペ」という木材で造られていますが、「イペ」は水に沈むほど重い特性(比重約1.1)があり、耐火性、防虫・防腐性、強度などの点でとても優れています。

    ウッドデッキ下地の根太
  • 芝生の貼り付け
  • ウッドデッキ下地の根太
受賞歴 受賞歴
グッドデザイン賞
長く愛される価値あるデザインとして評価を獲得
受賞の特徴 受賞の特徴
グッドデザイン・
ロングライフデザイン賞とは
グッドデザイン賞は、公益財団法人日本デザイン振興会が主催し、1957年に旧通商産業省によって設立された「グッドデザイン商品選定制度」(通称Gマーク制度)を継承する、日本で唯一の総合的なデザイン評価・推奨の運動。ロングライフデザイン賞は、同賞の一部門として1980年から開始され、長年にわたり機能と価値が広く認められ、将来においてもそれらを発揮し続けることが望まれるデザイン(商品・建築・コンテンツ・サービスなど)を表彰。
屋上・壁面・特殊緑化技術
コンクール ※現名称「緑化技術コンクール」
グッドデザイン・ロングライフデザイン賞
試験植栽により環境に適した高麗芝の新品種を開発し、植栽基盤へ適用された傾斜面安定のための特殊な緑化技術を導入。また給水源として、上下水のほかに雨水を利用するシステムも導入するなど、地域の環境改善に大きく貢献した点が評価された。
受賞の特徴 受賞の特徴
屋上・壁面・特殊緑化技術
コンクールとは
「公益財団法人 都市緑化機構」が主催し、気候変動への適応、2030年ネイチャーポジティブ(自然再興)の実現、官民連携による居心地の良い空間づくりやにぎわい創出等の実現のため、緑化技術に積極的に取り組み、優れた成果をあげている民間企業、公共団体、個人等を表彰する賞。都市緑化技術の普及推進を図り、都市緑化技術の新たなフェーズへの移行に寄与することが目的。
客船入港案内